最近、個人の事業者からネットショップを開業したいです。というご相談を受けることが増えました。特にワードプレスで作りたい、という方が多いです。
最近では新型コロナウイルスの関係で、実店舗での小売業態からオンライン化を進めないと生き残れない、と状況が逼迫している事業主も多いことでしょう。
ご相談される方の傾向として、ネットショップは作るもの、という前提というか思い込みがあるため、タイトルも「ネットショップの作り方」としています。
ですが、レンタルすれば作る必要はないですよね。多少のカスタマイズがあるにしても。
実際のところ、ほとんどのケースでは
とアドバイスしています。
私自身は、MakeShopとカラーミーショップ(いずれも現在はGMO系列)の副管理者としてサポート運用中。また個人の通販ショップとしてBASEを使っていました。
もちろんケースバイケースなので、この記事ではネットショップ/ECサイトの始め方をテーマに、次のことをわかりやすく整理してみます。
- ネットショップを開業するには、どんな種類や選択肢があるのか
- ネットショップの開業方法を比較すると、どんなメリットやデメリットがあるのか
- 目的や予算、状況から選ぶおすすめのネットショップは?
では参りましょう!
ネットショップ開業の選択肢、モール型、ASP、CMS
このページをご覧の方は、ネットショップを開業したい、つまり何か売りたい商品があるのでしょう。たくさんの商品を扱いたいのかもしれませんし、1つまたは数点の商品を売ってみたいのかもしれません。
あなたの目指すゴールはどこでしょうか?
例えば、毎月500万円の売上を上げたいとか、お客様のリストを使ったビジネスを構築したいとか、趣味の手作り商品を販売したいとか、目的によって違います。
まず大きな分け方として、モール型(総合通販サイトへの出店)、ASP型(ECショップのレンタル)、CMS型について概要を説明していきます。
※ちなみに完全にゼロから作るスクラッチと言われる方法もありますが、資金力や技術力の低い個人&小規模事業者の方には向きません。本稿では扱いませんが、スクラッチのような文字通り「ECサイトを作る方法」については。数百万円といった資金を投じて開発するか、プログラミングを習得する、といった方向性になります。
1)モール型:ショッピングモールへの出店
ネットショップの開業ですぐに思いつくのは、インターネット上の巨大ショッピングモールである楽天やヤフーショッピングへの出店ではないでしょうか?
イメージとしては、イオンモールやららぽーとのような巨大商業施設のテナントとして入る、という感じですね。
集客力が魅力ですが、逆に集客をモールに依存する分、制限もあります。実店舗でテナント料を取られることと同様に、出店手数料がかかります。
またお客様はショップの顧客ではなく、モールへの顧客として扱われるため、マーケティングにも制約があります。
2)ASP型:ショッピングカート・ECサイトをレンタルする
ASPとはApplication Service Providerの略で、ソフトウェアをパソコンにインストールすることなく、ウェブサービスとして提供している事業者やその形態を指します。
ショッピングサイトASPで言えば、契約して設定をするだけで、新たに自社のネットショップを公開できます。
ASPを使う場合は、ネットショップを作るというよりは設定する作業になります。必要な情報を記入したり、商品説明を書いたり、必要な画像をアップロードするなど、多少の時間がかかります。
ですがECサイト自体を作ることと比較すればかなりの時間短縮、コスト削減になります。
無料で使用できるショッピングサイトASPもあります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
3)CMS:ECサイトのパッケージで作る
CMSとは、Contents Management Systemの略で、主にある機能を持ったウェブサイトを管理するシステムを指します。パッケージ型ともいいます。
プログラムファイル一式がパッケージ化されており、一般的なソフトウェアのようにパソコン上にインストールするのではなく、サーバーコンピュータにインストールします。
有料のCMSも多く存在しますが、広く使われているものはオープンソースプログラムという、無料で使用できるCMSです。
無料で使えるため、導入コストは非常に低いです。
ネットショップを作るという意味ではご紹介した3つの方法の中で最も制作に近く、ある程度の知識が必要になります。
ネットショップの開業方法ごとに、メリット・デメリットを比較
では、前項で挙げたネットショップ開業方法を比較してみましょう。
ショッピングモール(ECモール)で開業するメリット
インターネットショッピングモールへの出店には、どんなメリットがあるでしょうか?
出店数、売上で群を抜く楽天、独自の流通網を持つAmazon、無料で出店できるヤフーショッピングなど、モールによって特色はあるものの、共通して以下のメリットが挙げられます。
- 集客力が高い
- ECサイト(ホームページ)を用意する必要がない
- 販売開始までの敷居が比較的低い
- セキュリティ面で安心感がある
- モール内の独自広告が使える
- 開業から売上までのスピードが早い
逆に、ショッピングモール出店のデメリットは以下のようになります。
- 同業の競合他社と比較されやすい
- 顧客の囲い込みがしづらい・できない
- 出品すれば売れるとは限らない
- 独自ドメインでの運用ができない
- ブランド色を出しにくい
ネットショップASPで開業するメリット
ASPとネットショッピングモール(ECモール)出店を比較すると、主な違いは、ビジネスのコントロールのしやすさです。
特に顧客情報を自由に使えるかどうか、という部分が大きいでしょう。利益率の高いバックエンド商品を持つなど、ビジネスモデルを自由に作れるのはASP型の大きなメリットと言えます。
運営形態を例えると、ECモールは巨大商業施設のテナントなら、ASPは人通りの少ない自社店舗、というイメージです。
ショッピングモール出店の手軽さと、CMSのビジネスの自由度、両方のメリットを得られるバランスの良い方法のため、多くの状況においておすすめです。
- 独自ドメインでの運用が可能
- 豊富なテンプレートが使え、簡単な設定で開業できる
- デザインのカスタマイズも可能なので、独自性が出せる
- 顧客を自社で囲い込むことが出来るので、リピーターを得やすい
- 決済や顧客管理システムをはじめ、販売支援機能が豊富
- セキュリティに関して、頭を悩ませる必要がない
- 導入コストが安い、または無料
- 毎月のレンタル費用、または決済手数料がかかる
- 集客の努力が必要
CMSでネットショップを立ち上げ開業するメリット
ネットショップのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)といえば、EC-CUBEやルミーズカートがあります。
他に、ブログシステムであるWordPressに、ショッピングカートプラグイン(追加機能)を追加してネットショップサイトを作ることもできます。
ネットショップモールとネットショップASPの前者2つは「システムを借りる」という方法だったのに対し、CMSはパッケージをサーバーにインストールすることから始まります。
システムは無料ですので、サーバーさえ用意すれば最も低コストで始めることができますし、自分好みにカスタマイズすることも可能です。
しかし運用に当たり、システムのトラブルやセキュリティに関して自社で責任を保つ必要がありますので、技術的なリソースを持たない場合にはおすすめしません。
- システムが無料で使える(EC-CUBE、ワードプレスなど)
- 独自ドメインでの運用が可能
- 顧客の囲い込みが可能
- 機能の拡張がしやすい
- デザインの自由度が高い
- ワードプレスにおいては、ブログ記事を併用することで集客の導線が作れる
- カード決済やコンビニ決済を導入する場合には、別途契約が必要
- レンタルサーバー契約、もしくは自社サーバーの用意が必要
- SSLなどのセキュリティ管理やトラブル対応を自社で責任を持つ
- CMSのアップデートなど、技術的な対応も自社で行う必要
- 集客の努力が必要
オススメのネットショップ開業方法は?
あなたにぴったりのネットショップ開業スタイルは、どのショップ形態でしょうか。
ここでは、ショップごとの特徴を強み、弱みに分類して比較します。また、タイプ別におすすめのショップを事例として挙げてみます。
ただ最初にお断りしておきますが、答えは一つではありません。例えば時間と資金、人員に余裕があるなら、
(1)ショッピングモール出店+(2)ASPで自社ショップ、両方とも運用すればよいわけですね!
ネットショップの形態ごとの特徴を比較するとこのようになります。
ネットショップの比較表
要素 | ECモール | ASP型 | CMS |
---|---|---|---|
初期費用 | ▲高い (無料あり) | ◯安い | ◎無料~ |
ランニング コスト | ▲高い | ◯安い | ◎格安可 サーバ代 |
導入の手軽さ | ◎簡単 | ◯簡単 | ▲難しい |
集客力 | ◎高い | ▲低い | ▲低い |
利益率 | ▲低い | ◎高い | ◎高い |
ファン化 (リスト) | ▲しづらい | ◎しやすい | ◯可能 |
安全性 | ◎高い | ◎高い | ▲低い |
デザイン自由度 | ▲弱い | ◯可能 | ◎自由 |
大まかに言えばこのような表になりますが、詳細に見れば、要素に違いがあるので注意が必要です。
例えば導入コスト。楽天は純粋な初期費用が6万円、加えて12ヶ月または6ヶ月の月額出店料を一括払いしますので、「がんばれプラン」では294,000円、「スタンダードプラン」では360,000円を初月に支払います。
ヤフーショッピングでは、初期費用は無料です。孫さんの思い切った戦略により、ネット上のショッピングモールでは異質な存在となりました。
ASP型で異質なのは、BASEです。こちらも、初期費用、月額利用料が無料と、思い切った戦略を取っています。
BASEは決済手数料(売上ごとのサービス利用料)から売上を上げるビジネスモデルですので、無料だからといって、誰でもオススメなわけではありません。
ある程度の売上を超えると、MekeShopなど利用料が月額固定のネットショップASPの方が有利になっていきます。
タイプ・目的別、おすすめネットショップ
- 手作り商品を販売する個人のネットショップ
- ものづくりが得意で、オリジナル商品を手作りして販売したい方向けのネットショップ開業方法です。 売上規模が小さい(概ね10万円以下)の場合、またある程度ビジネスとしてしっかりやりたい場合は、BASEが有利です。初期費用もかかりませんし、設置が非常に簡単です。 BASEでとりあえず作ってみる それ以上の場合は、売上ごとの手数料が3%=3,000円を超えるため、カラーミーショップを選んでもいいですね。 副業として、とにかく売上が立てばよいのであれば、minne(ミンネ)がおすすめ。 minneは、ハンドメイド作品のショッピングモールです。
- 売上を50万以上目指したい
- すぐに売上を上げていきたい場合は、大手ショッピングモール(楽天、Yahoo!ショッピング、Amazon)に出店するのが早いです。ただ、同じモール内での競合を調査し、売れそうなのかをリサーチしたり、限られたルール内で他店に負けない魅力を出すことが大事になってきます。 多少時間がかかっても、集客ルートを作り、リピーターを増やすなどショップを育てて行きたいのなら、MakeShopやカラーミーショップなどASPがおすすめです。
カラーミーショップ&Makeshop、BASEの比較記事はこちら
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